Vol.32 ZINEってなんだ?


今号のテーマはそう、「ZINE」です。正直な話、聞きなれないという方も多いのではないでしょうか。定義としては「個人で制作する非商業的な小冊子」のことを指し、その類似語としては「同人誌」や「ミニコミ誌」などが挙げられます。要するにZINEとは「大手出版社の出版システムから外れた」「なんでもありの」「マガジン」というわけです。  そしてこのZINE、今非常にアツい界隈です。即売会イベントの拡大や出版まで作り手を支えるシステムの充実…個人でも比較的容易に好き勝手な出版物を作れて販売できる、そんな時代が来ているのです。
 さて、そんな激アツなZINEですが、個人の趣味嗜好がぶつけ放題で、その内容はあまりにもニッチです。ゆえに時代や世間の主流から外れた、「あぶれもの」になってしまっているとも言えます。しかし、好きなものを好きだと叫ぶその行為を、誰かが否定することはできるのでしょうか。むしろZINEは、たとえ出版の本流や世間一般からあぶれていようとも、その「好き」を突き通しているからこそ、誰かの心を打つことができているのではないでしょうか。
 一方「僕ら」について考えてみれば、日常の様々な場面で僕ら自身の「好き」を隠しています。周りの目を気にしたり、自分に自信がなかったり。ですが、そのような物事への向き合い方に、本当に未来があるのでしょうか。
 今号では、この疑問に対する答えを提示しているわけではありませんし、そもそも正しい答えなんて存在しません。しかし世間から「没個性」と足蹴にされがちな現代を生きる大学生の皆さんにとって、この一冊がともに考え、閉塞的な時代の突破を試みるきっかけになってくれれば何よりだと考えています。

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